WOMCADOLE復活 休止前のライブを振り返る

Music

WOMCADOLEの活動再開を喜んでいたら、活動休止前、渋谷QUATTROでのThe Cheseraseraとの対バン時のMCのメモの存在を思い出した。

せっかくなのでMCの内容、ライブの空気感を思い出しながら振り返ってみる。

(MCのタイミング、順番やニュアンスには多少不確かなところがあるが、曲順は確認している。)

ある日突然に

滋賀県発の4人組ロックバンド「WOMCADOLE」。

2023年9月、地元滋賀でのライブを最後に長らく活動休止をしていたが、

2026年8月10日に活動再開を告知。9月6日のライブより活動を再開した。

学生時代を彩ってくれた大好きなバンドである。

活動休止前にトリを飾ったムロフェスにはもちろん参戦し、最近では珍しいモッシュ、ダイブにボコボコにされた。その日に買ったBYEE the ROUNDのタオルが速攻で消えたのも今となっては良い思い出だ。

汗の滴り、肌のベタつき、不快な蒸し暑さ、覚束無い足場、頬や腕にいつの間にか擦り付けられた土、誰かの足が顔面や脳天に直撃して一瞬目眩がする。

そんな嵐のようなカオスの隙間から、

黒の長髪を振り乱し、細身の体格を振り絞るように太く真っ直ぐな雄叫びをあげるように歌う男を見た。

呼応するように反射して輝く真っ赤なSGを見た。

彼の歌声には、何か大きな不条理に打ちのめされているようでいて、それでも苦痛さえ己の力に変えているかのような響きがあった。

2023/09/05 渋谷クアトロにて【ライブレポ】

2023年9月5日、渋谷QUATTROでのライブが、関東での彼らの活動休止前最後のライブだった。

BRING ME THE FUCKERS Tour

延期されていたツアーだった。

対バンにはボーカル樋口侑希と親交の深い宍戸翼がボーカルを務めるThe Cheserasera。

ライブレポという程ではないが、当時のMCのメモを元に、活動休止直前のWOMCADOLEを振り返る。

なお、敬称略で語っていく。

BRING ME THE FUCKERS Tour ライブレポ

The Cheserasera

ステージにケセラのメンバー3人が立つと、

Vo.宍戸は「好きな曲を歌わせてください。」とWOMCADOLEの「ラブレター」のサビを歌い上げた。

そして、代表曲「月と太陽の日々」へ。

「1度休まないと良いライブはできないと思ってる。自分達は(休止明けて)すごく調子がいい。」と宍戸は語る。

The Cheseraseraは2022年1月に活動を休止し、当時2023年の4月に活動を再開したばかりだった。

2023年のムロフェス2日目、ムロ海エリアRIGHT STAGEのトッパーを務めた。

同日トリであったWOMCADOLEのステージも同じくムロ海エリアRIGHT STAGEで行われた。

私にとってはケセラに始まり、ウォンカで終わった人生初フェス。この対バンにもどこか運命じみたものを感じていた。

そして、宍戸は樋口とのエピソードを語る。

宍戸が滋賀に滞在していた際、夜間に唐突に樋口から「蛍飛んでるから見に行こうや。」と連絡があり、車を走らせて来たのだと言う。

「樋口はめちゃくちゃだけど振り回されるのに悪い気がしない。きっと皆もそうだと思う。」

「俺らが東京で生きてくって決めた時に作った曲です。」と「東京タワー」。

2人には、夢を追って東京へやって来た者同士としても通じる所があるのかもしれない。

「クソみたいな恋愛したことありますか?」とケセラファンお馴染みの文言で「I Hate Love Song」を演奏し、WOMCADOLEへと繋げる。

「戻って来るって確信してる。」

これはバンドのMCではなく、尊敬する友人への信頼を感じさせる言葉だった。

The Cheserasera セトリ

1.月と太陽の日々

2.最後の恋

3.BLUE

4.GUS TOKYO

5.Youth

6.No.8

7.君がギターを弾かないなんて

8.幻

9.東京タワー

10.賛美歌

11.ファンファーレ

12.たわけ

13.I Hate Love Song

WOMCADOLE

ウォンカのメンバーが登場すると観客はどっとステージ前に押し寄せた。

樋口は後ろを指さし、「ドアの前までいっぱいだからもっと前に来い。」と叫ぶ。

それほどまで多く人が彼らの演奏を待ち望んでいたのか。

1曲目は「ライター」。

今か今かと待ち望んでいた観客達の心に初手から火をつける。

「ドア」、「絶望を撃て」、「少年X」「人間なんです」と力強いキラーチューンが続く。

特に「少年X」と「人間なんです」が連続で聴けたのは感動した。

樋口侑希の歌詞は己が醜い”人間”という生き物であることに対し、憎悪や慷慨や悲哀やニヒリズム、そして諦観。様々な感情が入り乱れている。

その纏まりの無い感情のカオスが何とも人間らしさを感じられて私は堪らなく好きなのだ。

渋谷QUATTROは大きな炎が上がる戦場となっていく。

合間にはDr.安田のくすりと笑えるMCが繰り広げられた。

ツーマンをワンマンと言い間違え、「”マン”は忘れなかったわ。男の子だから。」や「人には人の乳酸菌。」

更に曲中でダイブした際に顔面を殴ったスタッフに謝罪する。

唐突に「NANA」のサンプリングが流れネタバレを喰らうが、「こいつもライブしたがってます。」と昇華して次曲「NANA」へ。

「応答セヨ」そして「軌跡」を機に、アグレッシブな楽曲の流れから前向きさを感じる楽曲達へシフトしていく。

「何かを乗り越えてもまた壁にぶち当たる。もう何が何だかわかんねえよ。」

「でも乗り越える奴が馬鹿だなんて1ミリたりとも思っちゃいない。」

力強く歌う彼がMCで漏らすどことなく後ろ向きで消極的な希望。

何度打ちひしがれて来たのだろうか。今だって打ちひしがれているのだろうか。

それでも等身大で歌い続ける彼に私達は幾度となく魅了されるのだ。

「…そんなあなたと冒険したいんだ。無限の彼方へさあ行くぞ!」

「ペングイン」

「ラブレター」「今夜僕と」「BABOON」

そして「アオキハルヘ」。

「俺何も言わなくても皆めっちゃ歌ってくれるね。次の曲も皆に歌ってもらう。」

青春や愛、隣に立つ優しさを感じさせる楽曲達。

少しずつライブの終わりが近づいていることが予感させられる。

「俺らは馬鹿だから音楽で伝えるしかできない。他のロックやってる奴にもそうやって真正面からぶつかってほしい。」

「唄う」

観客、そして宍戸翼も登場する大合唱となった。

あなたに出会えたあの日の事と

あなたと離れたいつかの事

“僕等は唄うよ、あの日のように”

あの場にいた全員、願いはきっと同じだった。

願うよ、あなたとの日々を

またこうして唄える日が来るまで。

余韻をそのままにメンバー4人はステージから捌ける。

ステージが空になったのを感じる暇もなく、会場はロックヒーローを望む歓声と手拍子とで満ちる。

ステージに帰ってきた4人はどこか解けた表情を見せた。

「アルク」

ライブハウスで会することがなくとも、私達は息をし、生きていく。

合間のMCではまたも和やかな時間があった。

樋口が曲中でマイクを落とした為か、上手く音を拾わない。

困り顔を見せる樋口に「めっちゃお茶目な顔してた」と安田が笑う。観客にも笑いがこぼれる。

演奏中のアグレッシブさとは違う穏やかな空気。このギャップもまた彼らの魅力だと強く感じさせる。

正真正銘ラスト1曲。

「綴リ」

「貴方に会いたくて」のフレーズから始まる曲でこのライブは締められる。

貴方に会いたくて

今すぐ会いたくて

肩を濡らさないように

傘を持って行くよ

仄暗い夜明けのような、密かな前向きさとでも呼ぼうか、ウォンカの醍醐味はこんな感傷的な希望だ。

演奏を終えると樋口優希は何度も「ありがとう」と告げステージを去った。

WOMCADOLEセトリ

1.ライター

2.ドア

3.絶望を撃て

4.少年X

5.人間なんです

6.NANA

7.応答セヨ

8.軌跡

9.ペングイン

10.ラブレター

11.今夜僕と

12.BABOON

13.アオキハルへ

14.唄う

【アンコール】

1.アルク

2.綴り

その日まで息を続けろ

そして2026年8月10日。WOMCADOLEは正式に活動再開を発表した。

4人揃った活動再開ではないが、それでもどれほど待ち望んだだろう。ウォンカの熱が恋しかった。

ツアーのチケットも当然申し込んだのだが、同じ気持ちを抱えた者は少なくないらしく、全く当たらなかった。

それでも、また彼らの音楽を浴びれる日が遠くない。

そう思うだけで、長旅で疲弊し足を引き摺りながら歩いていた毎日も耐えられそうな気がしてくる。

もう少しだけ進んでみよう。もう少しだけ歩いたら、

そこの角を左に曲がってみようか、なんて思える。

またあの日のように唄える

いつかを夢みてる。

追記

今回は当時のiPhoneのメモを発掘し、ここに残すに至ったのだが、執筆途中で鮮明にあの日の空気感を思い出すことができ、自分としても満足している。

WOMCADOLEの活動再開をメインに書きたかったため、Vo.樋口侑希を中心にし、他のメンバーやケセラのライブの詳細については書けなかった。

特にThe Cheseraseraは過去に何度かライブに赴いている大好きなバンドなのでまたの機会に詳しく書きたいと思っている。

社会人になってからライブから遠のいていたのだが、この文章を書いている最中にどうしてもケセラを聴きたくなり、仕事終わり新宿レッドクロスに向かった。

対バンはLarge House Satisfaction。こちらもお気に入りのバンドだ。

楽しい夜だった。後ほど記事にしようかと考えているが、酒も嗜んでいたため記憶に不安がある。それもまあ箱の醍醐味なのだが。

私はやはり小さなライブハウスが好きだ。

プラコップの酒を片手に各々が各々の形で拳を掲げ、身体を揺らし、頭を振って好きに音を浴びる。そんな空間が好きだと改めて実感した。

ライブハウスの空気感も少しずつここに残していきたい。

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