代表曲『天体観測』で有名なロックバンドBUMP OF CHICKENの楽曲『ラフ・メイカー』。
2000年9月19日発売のシングル「ダイヤモンド」のカップリング曲として発表された同曲は2008年6月18日発売のアルバム『present from you』にも収録されている。
私がBUMP OF CHICKENの中でも特に好きな楽曲である。初期のBUMPならではのボーカル藤原基央の若く荒々しい声とどこか青臭さのある主人公が大好きだ。高校の頃から聴いている。※人物全て敬称略
昔から好きな歌詞はついつい意味やメッセージを考察してしまう。歌詞だけではない、歴史や人の性格についても、、考えることが私の愛情表現なのだ。
心理学的な歌詞の捉え方はしてきたのだが、もっと根本的な疑問があるではないか。
「ラフ・メイカー」とは何だ
サンタクロースのようなものか?仕事なのか?ならば雇い主は?個人事業主か?
そんなわけで今回は「ラフ・メイカー」が就労していると考えて彼の就業形態を考えていこう。
とても面白いテーマである。今回は、少し変わった歌詞考察をしよう。
米津玄師や野田洋次郎にも影響されてきたので物語的な歌詞は大好物なのだ。
私の血液には「メランコリーキッチン」や「オーダーメイド」が流れている。実に考察のしがいがある。
ただし、楽曲のおとぎ話的な空気感を現実味で壊しかねないのでネタとして読んでほしい。
ラフ・メイカーは利益のためにあんな行動をしているのではない!!
という意見は最もであり、私もそうであって欲しいのだが、この企画ではご法度である。
ラフ・メイカーは何屋なのか?
ここでは1度現実の職業に当てはめて考えてみよう。
歌詞によるとラフ・メイカーは
・突然やってくる
・笑顔を持ってくる
・人を笑わせないと帰れない(義務感)
という特徴がある。考えられそうな職業に当てはめて見てみよう。
芸人
笑わせるという特徴は一致しているが、芸人と考えると「ラフ・メイカー」の言動に少々違和感がある。
主人公の元に現れたのが芸人だった場合、まずは一発ギャグでも披露するのではないか。「ラフ・メイカー」は積極的に言動で笑いを取ろうという姿勢には見えないのだ。
よって芸人は違う気がする。
ピエロ
日本ではピエロは喋らない印象があるので、ニュアンスは中世の道化師と言ったところだろうか。彼らは皮肉を口にする。ラストの
「アンタの泣き顔笑えるぞ」
はかなり道化師らしい言い回しだ。そして突然やってくる、突然泣く、鉄パイプで窓を割るという奇想天外感。これは正解かもしれない。
…ピエロが窓割って家入って来たらさすがに怖くない??ジョーカー? 顔がDJ LOVEでも多分怖い。
主人公はこの時初めて「ラフ・メイカー」の顔を見るわけだ。ピエロメイクの男が急に窓割って入ってきたら泣いていても驚く位の反応は見せるだろう。奇抜な見た目をしているような描写がない。
カウンセラー
突然やってくるのか?笑わせないと帰れないなんてことは無いのでカウンセラーもしっくり来ない。カウンセラーは時間制なので何も解決しなくても帰る。よって違う。
メンタルケア職
メンタルケアしに来てるのに泣くな。そして精神的に落ち込んでいる人間を相手にして「消えてくれ」と言われたことがないのは違和感がある。メンタルケア職にしては彼は未熟すぎる。これも違う。
サンタクロース
「アンタに笑顔を持ってきた」
この発言から笑顔=プレゼントと捉えることもできる。
現に「プレゼント」という楽曲もある。突然やってきてプレゼントを渡す。人を笑顔にする。
しかし、サンタクロースは煙突がない現代の家にもプレゼントを置くことができる。
閉じられた部屋に容易に侵入が可能なのだ。わざわざ窓を割ることはないだろう。
歌詞の描写からサンタクロースである根拠は薄そうだ。
この中で一番近いのはピエロだろうか。しかし、奇抜な見た目であるという描写がないので、やはり道化師の方が適切だろう。
とはいえ、道化師だけでは説明しきれない部分があること、
そして日本では道化師という職が一般的でないことから、ラフ・メイカーを一つの「職業人」として考えた方が良さそうだ。
ラフ・メイカーの職業は”ラフ・メイカー”だ。
ならば、「ラフ・メイカー」を職種として求人票を作るつもりで考えていこう。
依頼主は?
「ラフ・メイカー」はいったい誰に依頼されているのか。そもそも依頼されているのか。
主人公は依頼していないようだが、笑わせるというタスクにかなり重きを置いているのでこれは仕事、使命と見て間違いないだろう。
すると依頼主は家族や友人だろうか?
何だか興が冷めてしまう。
歌詞中では主人公とラフ・メイカー以外の人物の存在感が皆無である。
彼ら2人は他に誰もいない小さな世界で悲しみを共有し、主人公は最後にラフ・メイカーのお陰で笑顔を取り戻す。
きっとその後には不思議な友情が芽生えることだろう。
これが家族や友人など身近な存在に作られたものであるとすると、何とも野暮ったい。
主人公の笑顔の後、
「良かった、元気になったんだね。」
なんてひょっこり出てきて欲しくはない。
この物語の結論が
「信じられる人は身近にいる」
になってしまう。
人を信じられなくなった主人公が不思議な巡り合わせで繊細で優しさ溢れるラフ・メイカーと出会う。
彼のお陰で再び笑顔と人を信じるという希望を取り戻す。
そんな物語なのだ。主人公を泣かせた人物にしゃしゃり出てほしくない。彼の涙は何だったのだ。
サンタクロース協会的な、人々を笑顔にすることを目的とした団体だとか、
依頼主は存在したとしても主人公の知らない存在であってほしい。
それでは、彼が勝手に対象者を選ぶのだろうか?それはそれでファンタジーらしさあって好きだ。
急に魔法学校から手紙が届くような素敵なことが起こりそうな感じだ。
個人的には見知らぬ上位存在が依頼主で、上位存在あるいはラフ・メイカー自身が対象者を選び、勝手に派遣されてくる説を推したい。
雇用主はいるのか?
ここから今回のテーマの核心に迫っていく。
雇用主が存在する場合、考えられるのは以下だろうか。
- 興行系の人材派遣会社
- 「ラフ・メイカー協会」
- 神様(超常的上位存在)
興行系の人材派遣会社
人を笑わせる、笑顔を届ける専門会社があり、そこから悲しんでいる人々の元へ派遣される説。
しかし、笑顔を届けることからどのように収益を得、経営をしているのかは不明である。
複数事業があり、そのうちの一つであればまだ納得できる。
「ラフ・メイカー協会」
“ラフ・メイカー”と呼ばれる道化師達を管理する謎の組織が存在している説。
実在する「サンタクロース協会」のように存在している。
個人的に好きな説だ。
「北緯○度、緯度○度、~~地区××市内××付近にて泣いている人を発見しました。
担当ラフ・メイカーを派遣してください。」
「了解。〇〇地区担当を向かわせます。」
コントロールセンターでこのようなやり取りがあったら面白い。
この説だとラフ・メイカーは複数存在することになる。
「名乗る程たいした名じゃないが
誰かがこう呼ぶ”ラフ・メイカー” ·····
これは協会公認ラフ・メイカーの決まり文句であろう。
“ラフ・メイカー”は彼らの名称であり、本名ではないのだ。
協会を経由して収入を得ているのか、ボランティアとして行っているかは考える必要がある。
神様(超常的上位存在)
今回は就業形態の考察なので、最も非現実的なこの説は少し趣旨とズレる。
しかし、ロマンチックで趣があるので紹介する。
ラフ・メイカー天使説。
神様から悲しんでいる人々を救うように命じられ、彼らは涙を流す人の元へやって来る。
この説だと多少整合性が取れていなくても神の御業で許されそうだから書き手としても楽なのだが、、
楽曲の印象も守ることができる説である。
個人事業主の可能性
雇用されていないケースも考えよう。
業務委託契約
この場合、雇われているのではなく、ラフメイカーというサービスを提供する個人事業主になる。「笑わせる」という仕事を請け負っているという考え方だ。
業務内容は、「人を笑わせること」。
ここで重要になるのが、”何をもって仕事が完了するのか”である。
「笑わせる」が成果物だとすると判断基準はどこになるのか。
笑った、泣き止んだ、泣き笑い、苦笑、、
ここは「ラフ・メイカー」という名前がヒントになってはいないか。
英語にすると「laugh maker」となる。
「laugh」という単語の意味を詳しく調べると
(声を立てて)笑う、(…を)見て笑う、おもしろがる、笑い声のような音を出す、
weblio英和辞書(https://ejje.weblio.jp/content/laugh)にはこのように説明されている。ここまでは別にわかる。
重要なのは次の意味だ
うれしそうである、満足な状態にある
つまり、「笑わせる」という成果にも、対象者がどういう状態になったら仕事完了とするのかという問題が残る。
これは「成果報酬型」と考えると説明しやすい。
顧客との直接契約
この場合、成果報酬は笑わせてもらった側が支払う形式になる。
しかし、主人公は「呼んだ覚えはない」そうなのでこの線はかなり薄いように思う。
報酬体系
報酬の契約内容を考えよう。
- 歩合制
- 固定報酬制
- 成果報酬制
考えられそうなのはこの辺りだろう。
ヒントになるのは、「笑わせないと帰れない」こと、そして、
「消えてくれ」と言われても粘り、笑わせる為なら鉄パイプで窓を破壊するほどの執念を見せたことだ。
これはずばり「成果報酬制」だろう。一つずつ見ていこう。
歩合制の場合、売り上げの〇% 一件〇円契約件数に応じて報酬増加
のように、仕事量や売り上げに応じて報酬が変動する仕組みを差すことが多い。
ラフ・メイカーの場合、「10人笑わせたら給料が10倍」のような描写は見当たらない。
「笑わせないと帰れない」から歩合制とするのは少し飛躍がある。
仮に笑わせた件数などに応じて報酬が得られる歩合制の場合、
ラフ・メイカーは泣いている人が多いほど儲かるというとんでもビジネスになる。
ネタ企画とはいえ、そんなあくどいラフ・メイカーは嫌だ。
固定報酬制の場合、依頼された仕事を1件〇円など、あらかじめ決められた金額で請け負うことになる。業務時間が伸びても、基本的に報酬は一定だ。
しかし、「笑わせないと帰れない」ことから、現場に到着して仕事を始めれば終わりではなく、
「笑わせる」という成果を達成するまで仕事が終わらない。
一方、成果報酬制であれば、「笑わせる」という成果を達成することを報酬の条件として考えることができる。
「笑わせないと帰れない」というラフ・メイカーの仕事の特殊性も、こちらの方が説明しやすい。
よって、ラフ・メイカーは成果に条件が付いた報酬体系だ。
稼働時間
稼働時間はかなり不安定だろう。
泣いている人がいる→(依頼を受ける)→向かう
のであれば雇用されている場合、依頼が発生するまでの待機時間がある。この時間の報酬についても考える必要がありそうだ。
更に、「笑わせないと帰れない」ため、仕事がどの程度の時間で終わるのかはかなりケースバイケースだろう。
つまり、ラフ・メイカーの稼働時間は決められているのではなく、仕事が発生してから対象者を笑わせるまでと考えるのが自然である。
就業形態の結論
現時点では業務委託の可能性が高い。
ラフ・メイカーは、
①泣いている人がいる
②その人の元へ行く
③笑わせる
④笑わせるまで帰れない
という仕事をしているように読める。
これは、決められて時間に勤務するというより、
「依頼された仕事を完遂する」という働き方に近いだろう。
報酬についても、「笑わせる」という成果が仕事の完了条件になっている。
したがって、
「依頼された業務を完遂することで報酬を得る、業務委託型の仕事」
と考えるのが正しそうだ。
ラフ・メイカー求人票考察【前編】
これまでの考察内容を集約し、ChatGPTに求人票としてまとめてもらった。
以下のとおりである。
職種
ラフ・メイカー(道化師)
就業形態
業務委託
報酬体系
成果報酬制?
※「対象者を笑わせる」ことが仕事の完了条件と考えられるため。
仕事内容
泣いている人のもとへ駆けつけ、対象者を笑わせる。
対象者が笑うまで業務を継続する。
稼働時間
仕事が発生してから、対象者を笑わせるまで。
※終了時刻は案件ごとに異なるものと考えられる。
勤務地
依頼主・対象者のいる場所。
必要に応じて対象者の自宅まで出向く。
勤務形態
案件発生時に対象者のもとへ向かう、案件対応型。
応募資格
?
必要なスキル
- 人を笑わせる能力
- 泣いている人への対応力
- 状況に応じたコミュニケーション能力
- 何としてでも笑わせる粘り強さ
休日・休暇
?
※「どこかで涙の落ちる音」がすれば仕事が発生する可能性あり。
もしかすると、休日という概念が存在しないのかもしれない。
交通費
?
契約期間
?
福利厚生
?
依頼主
???
備考
対象者のもとへ向かう際、窓を破って入室する場合があります。
※通常の訪問業務ではあまり見られない入室方法です。
※窓の修理費等については要確認。
※本求人票は「ラフ・メイカー」の歌詞をもとに筆者(とチャッピー)が作成した架空の求人票です。
ここまでラフ・メイカーの就業形態を考えてきたが、最後まで埋められなかった重要項目がある。
「依頼主」だ。
そもそもラフ・メイカーは誰から仕事を頼まれているのだろうか?
これを考えるヒントになるかもしれないのが「プレゼント」という楽曲だ。
次回は「プレゼント」を手掛かりに、雑誌のインタビュー記事なども踏まえて
依頼主とより正確な就業形態を考察する。
目ぼしい雑誌を絶賛収集しているので次回投稿まで時間を要するが、楽しみに待っていてほしい。
果たしてラフ・メイカーは、誰に雇われ、誰から仕事を依頼され、
どのような形で働いているのか。
